財務の言葉を知っておこう。
― 首相の言葉に出た「連結」と「CDS」をかみ砕く ―
首相の言葉に連結とCDSが出てきたので小さく驚きましたw。
「数字をどう読むか」は、判断に大きく影響し、国家財政も企業と同じです。数字の見方ひとつで印象も方針も変わります。実は、ニュースで煽動されてきた借金の話は、事実ではあるものの誤解を誘う切り抜きです。かねてから残念に感じていましたが、首相がこのテーマに正面から踏み込み「連結」バランスシートや「CDS」という言葉を用いたのは心強い発言と感じました。
ここでは、グケンが得意とする「会計とデータで行動指針を考える」視点から、数字の正しい使い方について、意見を整理してみました。
グケンと一緒に、データ活用について考えてみてください。
■ “正しい数字”とは何か
「日本の借金は1,200兆円を超えた」と聞くと、多くの人は「危ないのでは」と感じます。しかし、この数字だけで財政の健全性を判断するのは正しくありません。企業に置き換えると、グループ全体では黒字なのに、子会社だけを見て赤字と判断する事と違わない内容です。全体を「連結」で見ることが欠かせません。
国と地方の間では交付金や補助金・貸付金、税制会計の資金移動もあり連結視点が大切です。内部取引を差し引いて初めて、国全体の実質的な姿が見えます。それが「連結バランスシート」という考え方です。また、負債以外に資産も国、地方公共団体、社会保障基金をまとめると、約1,000兆円の資産があります。
■ CDSは「信頼を映す数字」
もうひとつのキーワードが、**CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)**です。これは国や企業の債務リスクに対する“保険料”のようなもの。値が低いほど、市場が「安心して貸せる」と見ています。2025年春の日本国債CDSは約20bp(0.2%)。ドイツに次ぐ低さで、アメリカ(30)やギリシャ(55)より安定しています。つまり市場は、日本を「信用できる国」と評価しているのです。財務の数字を読むときは、市場がどう感じているかを加味すると、統計やグラフでは見えない「信頼の温度」がわかります。
■ 数字を信じる前に、数字の構造を見よう
数字は事実を示しますが、切り取り方ひとつで印象が変わります。単体では赤字でも連結では黒字、年度では赤字でもキャッシュでは黒字。同じ数字でも、見る角度で意味が変わります。AIやBIツールを使っても、前提を誤れば結果は誤解になります。大切なのは、数字の構造を理解すること。数字は大切ですが、加えて、数字を“信じる”より前に、“どう作られたか”を見極める視点が必要です。
■ 経営判断を誤らないための3つの視点
1️⃣ 連結で考える — 全体を見て部分を理解する。
2️⃣ ネットで考える — 総額ではなく実質で見る。
3️⃣ 市場で確かめる — CDSなど外部の評価も参考にする。
この3つを意識すると、数字が単なる報告ではなく、経営や政策を考えるための“手がかり”になります。
首相が使った「連結」と「CDS」という言葉は、国家財政の話でありながら、企業経営やデータ活用にも通じる考え方です。連結は構造を示し、CDSは信頼を映す。数字はいつも事実を語ります——ただし、正しく見ればの話です。
■ グケンと一緒に、データ活用を考えましょう
グケンはデータ戦略の支援会社です。社内でデータの使い方を、担当者や部門に任せきりにしていませんか。経営全体のKPIから落とし込み、現場が共通の指標で動けるようにすることが、データ活用の第一歩です。数字を「見る」から「使う」へ。グケン株式会社は、データ活用・管理会計・KPI設計を通じて、経営を数字で語れる組織づくりを支援します。お気軽にご相談ください。
✳️ 文責:グケン株式会社(Guken Inc.)
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