ROICツリーが何故に大切かをつぶやく
(※noteへの投稿は…https://note.com/guken/n/n308c46096896)
コーポレートガバナンスコードが脚光をあびてから、幾年かが過ぎたと思うが、2025年でもROIC展開について、準備や利用をIRで話す企業は、上場企業の一部であると思う。未だ十分な数の日本企業ではないと感じる。
別にROICツリーを作らなくても、同じ内容を組織に徹底できるのであれば不要なのだが、特にJTCなどでは難しいはずだと思う。財務の壁、出世競争の壁、人の壁、ITの壁、時間の壁、ITの壁と組織には沢山の壁があり「意思決定の速度」が、日本の大企業では結構に致命的な状態である気がする。最近の経済や世界を考えると、遅い方が良いともいえるし、日本の文化的には遅さを利用してるようにも見えるが早く動ける組織は相当に少ないと思う。故に、財務と実務をつなぐROICツリーは大切である、と主張したい。
ROICツリーと、それに加えて、各事業ごとにROICの目標をプロットした事業ポートフォリオチャートとがセットで重要となる訳である。事業ポートフォリオ図は現在のプロットに併せて、将来のプロットを対比できるように表示して予実を位置とサイズで見えるようにしたい。

複数の事業体を抱える企業では、各事業がシナジーを生んで価値が上がるように多角化をしているはずで、コングロマリットプレミアムが良い状態。そして、コングロマリットディスカウントが駄目な状態である。後者は論外で全社の状態を作れる理由と対策を社外の投資家に対して、取締役側は説明し、投資額面と投資期間を機関投資家へ求める訳である。そして、何故目標ポートフォリオを達成できるかの羅針盤がROICツリーになる(社外の投資家からは、株主提案以外に内政に口出す手段がない点で、この説明責任は重要な情報となる)。ツリーは右側に、現場側の非財務目標をおき、実務家側に対する目標の掲示になっている。実務家の全ては財務が分かる状態ではないので(本当はこれでは駄目なのだが)、実務KPIだけを最低限理解し、ここを目指してもらう訳である。IRやCFOは、この現場に対する戦略を、FP&Aの実行能力を持って、説明・啓蒙・指示・指導し、現場の行動が数字を作り出せるように協働する訳である。
ROICツリーの各指標は、月次にそれぞれ進捗を値として持っていることになり、それを月次に予実進捗管理する訳である。当然に、月次よりも細かく管理すべきKPIや、月次では動きが見えないので四半期や半期で観るKPIもあってよいのだが、定期的に予実を監視する点は変わらない。また予定と実績の比較の場合もあれば、予定と見通しと実績比較がふさわしいものがあったり様々である。
しかし、このROICツリーが無い状態で、収益構造の異なる複数事業について、財務から現場へ適切に指示をしたり、現場の限界を報告や上申の形でいち早くキャッチできるかというと、他に手段は少ない。
発見が早くできる事は何よりも近年重要になっている。意思決定は、YES/NOを決める時代ではなくなっており、どの程度やるかを決める時代にまず、変わっている。また続けるのか止めるのか。どの程度に世界が変わったら一部を増やす減らす…的な、グレーな意思決定で「調整」する時代になっており、朝令暮改を大組織に展開できる業務プロセスが、勝利の方程式になっている。
サラリーマン社員と雇われ社長、オーナー社長で、目標達成に対する情熱や意見が、同じは抑々ならない。しかし、会社という団体は、数の効用で、戦力を束ねて最大にして、競争相手よりも高い評価をとるものと考えるのであれば、ROICツリーによる透明性と、定量化できる目標設定は重要である。これによって、スイミーのように、この力を団結一致して最大化ができ、ベクトルを合わせた団体として、速く動く組織をつくるわけである。
なお、この予実や、財務―実務の連携に対する考え方は、大企業だけではなく、中小企業でも同じであると言える。特に、M&Aや事業承継で社内の指揮命令系統が変わる時、またリーダーシップが変わる時に、ニーズが高くなる。性善説の組織において暫く時間を投資できる場合、阿吽の呼吸で、財務―実務のシナジーも勝手に生まれてくる(場合もあるの)かもしれないが)、そんな悠長なことは言ってられない事が、9割9分の世界が近年である。タイパがコスパを上回る時代で、且つ阿吽が出来る前に、人が辞めたり、実務事情が変わる時代になった。故に、この財務―実務連携の理屈は、組織をうまく回して、企業価値を育むための企業行動を、継続するために極めて重要な「テンプレ」という訳なのである。全ITのコンサルタントに知って欲しい…
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